aftersun/アフターサンの紹介:2022年イギリス, アメリカ映画。11歳の少女ソフィは父カラムとトルコのリゾート地にやってきた。間もなく31歳を迎える男性として生きづらさを抱えながらも、ソフィへの愛情を見せるカラム。父娘でビデオカメラを互いに向け合い、ふたりきりで過ごした夏休み。20年後。カラムと同じ年になったソフィは、ビデオテープの映像から記憶を手繰り寄せ、当時気付くことがなかった父の一面を見出していく。フィクションでありながら、ウェルズ監督のパーソナルな自叙伝の要素も多く盛り込まれている本作。全編に散りばめられた家庭用小型ビデオカメラ「miniDV」やポラロイドといった90年代のアイテムやファッション、そして物語を彩るヒットソングの数々もみどころ。

監督:シャーロット・ウェルズ 出演:ポール・メスカル(カラム)、フランキー・コリオ(ソフィ)、セリア・ロールソン・ホール(現在のソフィ)ほか


イギリス


映画「aftersun/アフターサン」解説

この解説記事には映画「aftersun/アフターサン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。


aftersun/アフターサンのネタバレあらすじ:起

11歳の少女ソフィの夏休み。普段は別々に暮らす父娘ですが、この夏は特別にトルコのリゾート地を訪れました。あと2日で31歳になる父カラムに、ソフィはビデオカメラを向け問いかけました。


「11歳の時、将来は何をしていると思っていた?」

カラムは答えることができませんでした。


カラムとソフィは予約したはずのツインベッドの部屋ではなく、クイーンサイズのベッドのみが置かれた狭い部屋に案内されてしまいます。やむなく簡易ベッドに眠ることになったカラム。ソフィが眠りについた後、バルコニーでひとりタバコを吸い、闇の中で踊りました。



aftersun/アフターサンのネタバレあらすじ:承

ソフィの兄と間違えられるほど若く見えるカラムは、旅行に最新の家庭用ビデオカメラを入手し優しい眼差しで愛娘の姿を映していきました。


翌日、ホテルのプールに繰り出した父娘。カラムはソフィの背中へ日焼け止めを丁寧に塗りながら、母親との暮らしや学校生活についてなど聞き、かけがえなのない親密な時間をすごしていきました。


「たとえば空を見上げて太陽が見えたら、パパも太陽を見ていると思える。離ればなれだけれど、そばにいるのとおんなじだね」

ソフィの言葉にカラムは胸いっぱいになりました。


aftersun/アフターサンのネタバレあらすじ:転

プールでは、ハイティーンの少年少女と仲良くなったカラムとソフィ。一緒にビリヤードを楽しんでいましたが、夕方になるとカラムは買い物へ出かけ、ソフィは許しを得て少年たちと遊んでいました。


カラムが立ち寄ったのは絨毯屋さんでした。ひとつひとつ手作業で作られた美しいトルコ絨毯でしたが、カラムには高いものでした。


多感な年ごろのソフィは少年たちが騒いでキスし合う姿に興味津々です。しかし、彼らからの刺激もあり、些細なことでカラムと喧嘩をしてしまいます。ソフィは部屋にも戻らずに1人の少年と過ごしていまいた。


ソフィが部屋に戻ると、ドアには鍵がかかったままでした。仕方なく、フロントのソファで寝るソフィ。夜中、スタッフが部屋の鍵を開けてくれ部屋へ入れてくれました。

ソフィはカラムにそっと毛布をかけ、横の簡易ベッドで眠りにつきました。



aftersun/アフターサンの結末

翌朝、父娘はモーニングコールで目を覚ましました。バカンス最後の休みを楽しむために、バスツアーに参加することになっていたためです。


昨夜のことを謝るカラム。いつも通りの父娘に戻っていました。バスが停まると丘の上で一緒に太極拳をやったり、今日誕生日のカラムのためにサプライズの歌を他の参加者と共に歌ったり、最高の思い出を作ることができました。


こうして楽しかった時間があっという間に終わりました。空港まで送ってくれたカラムに、ソフィは搭乗口からいつまでもカラムへ名残惜しい視線を向けていました。


あれから20年。足元にトルコの絨毯を感じながら、カラムとの思い出をかみしめる現在のソフィ。現在、カラムはどこにいるのか、または生きているのか、詳しいことは分かりません。ただ、残された映像とともにずっとソフィの胸の中でカラムは鮮明に生き続けているのでした。


再び20年前の空港。ソフィを見守る当時のカラムがドアの向こうへと去っていきました。