ベルセルク 黄金時代篇 III 降臨の紹介:2012年日本映画。1989年より白泉社発行雑誌にて連載されている漫画作品のアニメ映画。中世ヨーロッパを下地にしたダークファンタジー。ベルセルクのすべての物語の映像化を目的とした「ベルセルク・サーガプロジェクト」の一環として、三部作映画による「黄金時代編」の映像化が行われた。本作はその完結編。

監督:窪岡俊之 原作:三浦建太郎 声優:岩永洋昭(ガッツ)、櫻井孝宏(グリフィス)、行成とあ(キャスカ)、梶裕貴(ジュドー)、松本ヨシロウ(コルカス)、ほか

ベルセルク 黄金時代篇 III 降臨の予告編 動画




映画「ベルセルク 黄金時代篇 III 降臨」解説

この解説記事には映画「ベルセルク 黄金時代篇 III 降臨」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。


ベルセルク 黄金時代篇 III 降臨のネタバレあらすじ:起

キャスカ達鷹の団が王国から逃亡の日々を続ける中、ガッツは戻ってきました。キャスカはガッツを一人呼び出します。彼に剣を向け、襲い掛かるキャスカ。戸惑うガッツにキャスカは告げます。全てはガッツが原因だと。グリフィスの下を去らなければ、こうならなかったと。ガッツにとってそれは考えもしなかった事でした。衝撃を受けるガッツ。キャスカはグリフィスの傍に居られなかった苦悩を語り、ガッツに全てを託すと告げると、崖に身を投げました。咄嗟にキャスカの手を掴むガッツ。ガッツに救われるキャスカは、改めて、自分から全てを奪いながらも、そんな彼に惹かれている自分の心情に気付きます。自然と、ガッツとキャスカは結ばれました。いつの間にか寝ていたガッツは、何者かの気配を感じると目を覚まします。剣を構えるも気配が掴めない。彼の後ろから、髑髏姿の鎧に身を包んだ謎の人物が姿を現し、彼に一つの警告めいた予言を残します。これより後、人の身では購い切れぬ狂気の豪雨、死の嵐が吹き荒れると。幻の様に姿を消す髑髏姿の騎士。



ベルセルク 黄金時代篇 III 降臨のネタバレあらすじ:承

ガッツ達はシャルロット姫の案内で、グリフィスが捕えられている牢獄に向かいます。その中で、彼は変わり果てたグリフィスと対面します。面影が一切なく傷ついた姿を晒す彼に衝撃を受ける一同。王国の兵が彼等を包囲する中、ガッツは怒りに身を任せ、その包囲を突破していきます。鷹の団の力の下、グリフィスを救出する事に成功した一同。しかし、グリフィスは両手足の腱を切られ、舌を切られ、再起不能の身となっていました。その事実を伝えられ、途方に暮れる鷹の団。しかし、一番強い絶望を味わっているのはグリフィス本人でした。看病しに来たキャスカに縋るグリフィス、そんな彼の姿を目の当たりにして、キャスカはガッツに鷹の団に残る事を伝えます。共に残ると言うガッツに、キャスカはあの日のグリフィスの言葉を伝えます。「お前がグリフィスと対等の者なら、友達なら、一人でも行かなくちゃ」。その言葉はグリフィスの耳にも届いていました。馬車を操り、一人再び夢を追いかけようとするグリフィス。しかし、満足に馬車を動かせず横転。その衝撃に体は耐え切れず、腕はあらぬ方向に曲がる。自分の現状を認識すると、グリフィスは声なく嗤います。自殺しようとしても、その決断すらできない自分の身に絶望してる時、彼の腕に何かが巻きついてるのに気付きます。それは拷問の際にどこかに消えたペンダント覇王の卵でした。グリフィスの下に駆け寄るガッツ。グリフィスは彼を拒絶します。その声に気付かず、駆け寄るガッツ。彼がグリフィスに触れた瞬間、グリフィスの絶望が覇王の卵に伝わり、世界に異変を生じさせました。


ベルセルク 黄金時代篇 III 降臨のネタバレあらすじ:転

全員が謎の異空間に飛ばされます。いつの間にか、周囲には無数の人影。彼等が喜びの声を揚げる中、四人の人影が姿を現します。ゴッドハンドと呼ばれる存在。ゴッドハンドはグリフィスには自分達と同じくゴッドハンドに転生する資格があり、集った鷹の団がその為の生贄と告げます。ゴッドハンドはグリフィスに問います。これまで積み上げてきた死体の数々によって今までの道はあった。この先、諦めるか、それともまた死体を積み上げて夢を目指すのか。グリフィスは、いつの間にか夢以上に欲していたガッツの姿を見た時、決断しました。呟いたのは「捧げる」という言葉。その瞬間、グリフィスの姿は消え、集った鷹の団全員に烙印が焼き付けられます。それは生贄の烙印と呼ばれ、闇の者の供物の証であると。無数の人影は、かつて鷹の団に現れたゾッドと同じ様に、人の姿から、怪物へと変貌を遂げ、鷹の団を蹂躙していきます。成す術なく殺されていく鷹の団。周囲に吹き荒れる殺戮の嵐の中、キャスカは鷹の団の全員によってその場から逃がされます。ガッツが気付いた時、周囲には彼以外の誰も残されていませんでした。無数の化物に囲まれるガッツ。彼の仲間の死体を食い散らかし遊ぶ怪物の姿を見た時、ガッツは恐怖ではなく怒りの感情で叫びます。その時、ゴッドハンドが告げます。新たなゴッドハンドが生まれた事を。闇の翼、フェムトの誕生を。異形の姿に身を変えたグリフィスは、ガッツの前に飛び降ります。そんな彼の傍に、まるで供物の様にキャスカが捧げられてきました。ガッツの前で、キャスカの体を弄ぶグリフィス。怒り彼の下に詰め寄ろうとした時、怪物がガッツの腕に噛み付きました。動けないガッツの前で、淡々とキャスカと体を重ねるグリフィス。ガッツは激情のまま、自らの腕を切り落とす選択をします。自由の身になり、グリフィスに剣を突き立てるも、届かず再び取り押さえられるガッツ。見ているだけしかできない彼の前で、最愛の人と友が体を重ねていきます。怪物によって潰された右目が、最後にその姿を視界に映したとき、ガッツは絶望に叫びました。その叫びに呼応するかのように、髑髏姿の騎士が異界に姿を表しました。彼はガッツとキャスカを抱えると、そこから飛び立っていきます。



ベルセルク 黄金時代篇 III 降臨の結末:結

目覚めたガッツを待っていたのは、全てを喪ったという現実でした。生き残ったキャスカは現実を受け止めきれず、心が壊れ、別人の様に変わり果てた。愛する人も、かつて信頼した仲間も、友も全て喪った。絶望のまま、走りだしたガッツの周囲を、いつの間にか霊が囲んでいました。そこに髑髏姿の騎士が現れ告げます。生贄の烙印を刻まれた者は闇の者の供物である運命だと。咄嗟に彼の剣をもぎ取ったガッツは、周囲の霊を切り伏せ始めます。夜が明けた時、ガッツの周囲には霊が消え、朝日がその姿を照らしていました。一人、黒い鎧に身を包み、武装をするガッツ。彼は自分から全てを奪った者への復讐の旅に出ます。物語はこの始まりを迎え、映画は幕を閉じます。